2008/08/02

浴衣



車家へ。
毎年着ている母の浴衣に、今年は麻帯を締めました。



水ようかん。
観世水のお皿がこの上なく涼しげ。


浴衣は清げにこざっぱりと着るのがよろしい。
洗いざらしの浴衣の布は、洗って干せばバリッと気持ちよく乾くけど、着ればすぐさま体温でくたっとなるから、だらしなくならないよう、ピシピシと折り目をつけるように着たいもの。
きりきりと着付けた浴衣姿の、体温にしんなりと馴染んでる様子は、自然で健康的な色気があり大変よいと思う。
衣紋は、断然、細くV字になるように抜くのが清々しい。
襟元は良家の子女のようにきっちりと合わせ、裾は普段の着物よりやや、本当にやや短め程度で、くれぐれも短くならないように。
そして、背縫いまっすぐ、皺が伸びた背中で後ろ姿も涼しげに。
裄はちょいと短めがいいなぁ。
あっさりした髪で、あっさりとした下駄を履く。

「こざっぱり」って大好きな好みだなぁ。
あっさりとした感じ、清潔感があって、軽やかで、等身大。
地に足がついた感じ、風通しがよくて、さわやか。すてきだ。
浴衣の理想はこんな感じ。

着物はうんとこさ着飾る奥行きを持っているから、努力次第でなんとでもなるけど、浴衣はあれもこれもと思いきり省いてあるから、着手が勝るというか、着手の存在感が、着姿を決めるといっても過言ではないでしょう。(私の思うところによると)
「こう着たい」という着手の心意気で着るというか、雰囲気を着るというか。
もちろん、野暮ったい補正なんてものは、ここではどうか省いて。
賛否両論あると思いますが、上は帯板もなし。

浴衣というやつは、何か、着物にはない、簡易服ならではの佳さがありますな。着物にもない浴衣ならではの佳さが。
年々浴衣が好きになります。
そして、この母の浴衣に、年々自分が追いついてきたような、なじんできたような気がします。
シックになったというか、大人になったというか、老けたっつーか。