2006/10/01

遊郭に思いを馳せる

先日、ふと、八王子にある遊郭跡があるということを、知りました。

そうしたら、昨日の夜、偶然にも行き着いてしまったのです。

こんな場所があったとは・・・!

もう時間も時間でした。
確か、すでに真夜中だったと思います。
不思議な興奮に襲われ、夜の静かな町で熱いものがたぎってきます。

そして!
なぜか、今日も行ってきてしまいました。(今日は昼間です。)

そこは、八王子田町という、今まで生きてきて、まったく知らなかった土地です。
聞いたことすらありませんでした。

八王子、よく知っていると思っていたのに、こんなにまったく知らない場所があったとは。
そのこと自体が、まるで谷崎潤一郎の『秘密』の世界のようです。

小さなかわいらしい花をつけたサルスベリが両脇に植えられ並木道になっている、異様なまでに広い道、その広い道を挟むように、それらしき建物が数軒ありました。
じきに取り壊されてしまうのだろうな、と思わせるような荒廃ぶりです。
それらの建物は、まわりの道をぐるりと回ってみると、そのだだっ広い通り沿いから見るよりも、うんと奥行きがあって大きいんです。
建物は、二階建ての作りになっていて、一部屋一部屋並んでいる様子で、かつて賑わっていただろう遊郭についてさまざまな想像が次から次へと浮かんできます。

うち一軒、玄関も建物も、すっかり蔦に絡まれてしまって、家の壁が見えない程になっているものがありました。
敷地内にものすごく大きな木が立っていてその古さが偲ばれます。
蔦が生い茂ってかがまないと見えなくなってしまっている玄関を覗きこんでみると、硝子引き戸の一部が破け、中の様子が窺えます。
どうやら中はただの物置きのようです。
破れた硝子から覗いたところにちょうど鏡がこちらを向いて置かれているようで、鏡に映った自分の姿が目に飛び込んできて、一瞬びっくりしました。

二階の窓には、木の雨戸が閉められているところと、開け放たれているところがありました。
・・・そして驚いたことには、窓から灯りが!!
二階には人が住んでいるようです。
ゴホンッと咳が聞こえ、思わずギクッとしました。
いったい、このようなところに住んでいる人というのは、どういう人なのでしょう?
かつての遊郭とは関係があるのでしょうか。
不思議で不思議でたまりません。
昔の話を聞いたら、知っているのでしょうか。

その周辺を歩いてみると、大通りとはうってかわってせせこましい区画になっていて、家が息苦しく感じる程ひしめきあっています。
何となくですが、異様というか、不思議な感じが漂っています。
ここはいったいどういう町なのか???


遊郭、
それは少なからず興味があったもので、今年になって、金曜日の夜、会社が終わった後、そのまま東京駅から新幹線に乗って京都に行った時も、「五條楽園」という妖しい地区を散策してきたのでした。

それで、家に帰ってきてからこの、八王子にあったという遊郭について調べているうちに、五條遊郭について書かれているサイトに辿り着き、しばし時を忘れて読み耽ってしまいました。(そしてこんな時間に!)

舞妓さんだとか、芸妓だとか、芸子だとか、ワタシはちょっと今の時点でその違いや仕事内容など、釈然としていません。

でも、いわゆる、「風俗」的なものとしての、「お茶屋」というものが、そこ(五條楽園)にあると今日初めて知り、もう今すぐにでも飛んで行ってみたい!!という強い衝動に駆られました。

私がこの間行ったときは、気持ちよく晴れた昼下がりののどかな五條楽園だったので、今度行くなら夕刻を狙って行ってみたいです。

・・・・といっても、無論、客としてではありません。

でも、その場に立って、その古いなまめかしい雰囲気を、ありありと感じてみたいのです。

それとも、やはり、ただの「いかがわしい」店なのでしょうか。

私にはわかりません。