2007/07/28

すてきな会話 〜随分ずるいわ編〜

「ナオミちゃん、もう起きたかい」

「ええ、起きてるわ、今もう何時?」

「六時半だよ、今朝は僕がおまんまを炊いてあげようか」

「そう?昨日あたしが炊いたんだから、今日は譲治さんが炊いてもいいわ」

「じゃ仕方がない、炊いてやろうか。面倒だからそれともパンで済ましとこか」

「ええ、いいわ、だけど譲治さんは随分ずるいわ」


                    谷崎潤一郎『痴人の愛』より